解決事例
No.27 破産申立 ⇒ 個人事業主の事業用備品
<事案>
Aさんは,フランス料理店を営んでいましたが,周辺の大手企業の本店移転が相次ぎ,社用の客,常連客が離れたことで売上減少のため廃業し,個人事業主の破産申立をすることにしました。ただ,Aさんが唯一気にしていたのは,長年使ってきた調理器具や食器などを手元に置いておくことでした。
<解決に至るまで>
Aさんは個人事業者ですので,大阪地方裁判所の取扱では破産管財事件(注1)として破産申立をする必要があります。個人破産の場合,本来的自由財産(注2)と自由財産拡張(注3)により認められた財産を除き,破産者の財産は破産財団(破産法34条)となり,破産管財人に管理処分権があります(破産法78条1項)。
Aさんの調理器具や食器は,事業用の備品であり,本来的自由財産にも自由財産拡張の対象にもならず,破産管財人に処分されることになります。確かに,Aさんは有名なシェフで,使っていた調理器具も一流品ばかりです。しかし,長年使っている調理器具や食器には流通性がなく,実際のところ売却できません。それでも価値はあり,かつ,Aさんはとても大切にしています。
<最終的な結果>
Aさんと共に,調理器具と食器の写真を撮り,品名・購入価格・購入時期など詳細な説明を付けて破産管財人に報告し,破産財団にお金を組み入れることで破産財団から放棄してもらいました。これにより,調理器具や食器は処分されることなく,Aさんに戻りました。
破産手続は進み,Aさんの破産事件は終了し,免責決定がされました。免責後にご来所され,今はレストランで雇われ料理長として働いているが,閉店を惜しむ支援者の援助のもとお店を出す予定であり,もちろん調理器具や食器はそこで使うとのことでした。
【用語説明】
(注1)破産管財事件 (破産法31条1項) 通称「管財事件」
破産管財人が選任され破産者の財産をお金に換え債権者に配当するお金を確保する手続。
大阪地方裁判所の場合,破産管財人への引継予納金として20万5000円の納付が必要となる。
(注2)本来的自由財産 (破産法34条3項2号)
個人において法律上差押えが禁止された財産。通常の家庭にある生活必需品をいう。具体的には,食器,衣類,テレビ冷蔵庫などの家電など。
(注3)自由財産拡張
個人破産の場合に,破産者の経済的再生のため,破産財団に属しない財産の範囲を拡張する手続。一般的に拡張が認められるのは,預金,保険,退職金,自動車,敷金。
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