解決事例
NO.24 破産申立 ⇒ 所有権留保物件の受戻・売却と申立費用捻出
<事案>
Aさんは,プラント建設の会社の代表を務めていましたが,売上減少のため廃業し,会社と代表の破産申立をすることしました。しかし,直前まで無理な支払を続けたため,現金が少なく,破産申立費用の一部が準備できない状態でした。Aさんの会社には割賦で購入した工作機械(所有権留保物件)があるだけで,他にめぼしい財産はありませんでした。
<解決に至るまで>
会社の破産申立には,申立代理人に支払う申立費用と,裁判所に予納する予納金が必要です。一般的には,売掛金を回収するなどして準備しますが,一部が準備できない場合もあります。その場合,代表者と申立代理人は,会社資産を適正価格で売却し,費用捻出に努めます。
Aさんの会社には,割賦(月賦)で購入して支払中の工作機械があり,残債務より機械の価値が高いことがわかりました。しかし,割賦弁済中の物件は,代金が完済されるまでは売主に所有権があるので(所有権留保物件),勝手に処分することはできません。そこで,残債務を完済して所有権を取得してから(「受戻」と言います),売却することになります。
<最終的な結果>
機械買取業者数社で入札を行い,一番高い金額の申し入れをした業者を買受人とし,売主である機械メーカーからの受戻は,代金支払と同時決済で行うことにしました。所有権留保機械の受戻と売却により,破産申立費用を準備し,会社とAさんの破産申立をすることができました。結果,破産手続も問題なく進み,会社の破産手続終了とAさんの免責決定がされました。
その後,Aさんがご来所され,明るい表情で「知人の紹介で就職し,現場監督で入っている」とおっしゃっておられました。
*用語説明
○所有権留保
売買において,売主が売買代金の完済を受けるまで目的物の所有権を留保すること。売買契約中の特約により行われる。
○受戻(うけもどし)
債務者が債務を弁済して,質入れした物や担保物件を取り戻すこと。
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