会社が倒産したら社長の家族はどうなるのどんな影響があるのか解説します

会社が倒産したとき、社長本人だけでなく「家族にどのような影響が及ぶのか」という点を不安に感じる経営者の方は多いでしょう。

特に、自宅や預金などの財産、連帯保証人としての義務、さらには家族の信用情報など、心配の種は尽きません。

 

この記事では、会社倒産時に家族へどんな影響が生じるのかを中心に、どういった場合に影響があるのか、どの程度の変化が予想されるのかをわかりやすく解説します。

あわせて、社長個人や家族が取るべき対応方法、破産手続きの流れや注意点についても説明します。

会社が倒産した場合の家族への影響

会社が倒産した場合には、それがどんな理由であったとしても、原則として社長の家族には直接的な法的責任はありません。妻や子どもであったとしても会社の負債に関して一切の責任はありません。

それは、会社は法人として独立した存在であり、経営者の配偶者や子どもなどの家族が自動的に債務を負うことはないからです。

 

ただし、例外があります。それは「社長や家族が連帯保証人になっている場合」です。

ここでは、家族の個人資産・連帯保証・自宅の処分など、倒産後の影響を具体的に見ていきましょう。

 

家族の個人資産には影響しない

 

まず、法律では会社の借金や債務は、法人である会社名義のものとなります。そのため、社長の妻や子どもが会社経営に関与していない限り、家族の個人資産は差し押さえ対象にはなりません。

 

たとえば、会社名義で金融機関から多額の融資を受けていた場合に破産の手続きをしても、家族の預金・収入・自宅などが自動的に処分されることはありません。これは、会社と社長などの経営者、そして、経営者の家族は別の主体として扱われるためです。

 

ただし、経営者個人が会社の債務を保証していた場合や、会社と個人の財産を混同していた場合(社用資金を私的に流用するなど)は、破産手続きの中で「財産の帰属」が問題になるケースもあります。

社長が連帯保証人になっている場合

 

中小企業では、金融機関から会社が融資を受ける時に代表者個人が連帯保証人になっているというケースがあります。この場合、会社が倒産して支払い不能になった場合には、社長個人が保証債務を履行する義務を負うことになります。

 

社長名義の財産は差し押さえられる可能性

 

社長個人が保証人である場合、社長の個人名義の財産は差し押さえ対象になります。

預金・車・不動産・保険解約返戻金などが対象となり、債権者が裁判所を通じて差し押さえを行うこともあります。

 

特に注意すべきは、自宅が社長個人名義になっているケースです。自宅が担保として融資契約に含まれている場合、債権者によって競売にかけられる可能性があります。

 

たとえば、会社が負っていた1,000万円の債務について、社長が連帯保証人になっていた場合、倒産後は社長個人に対して1,000万円について金融機関や債権者から「返済してください」という請求が届きます。そして、代表者個人が支払いが困難な場合は、最終的には自己破産や個人再生といった個人がてきる債務整理を検討することになります。

 

この場合は、連帯保証人の個人資産が処分されることになります。ただし、その場合でも連帯保証人ではない妻や子どもの個人資産には影響しません。

 

そのため、社長が連帯保証人になっている場合は、弁護士に早めに相談し、家族の生活を守るための対応を検討しましょう。

 

支払いができない場合は自宅が競売にかけられることもある

会社倒産後に連帯保証人が支払い不能になり延滞が続くと、債権者が裁判所に「強制執行(競売)」を申し立てることがあります。

その場合、自宅などの財産が競売にかけられ、売却代金で債務が回収されるケースがあります。多くの場合、競売が行われると、相場より低い金額で売却されることが多く、住み続けることは難しくなります。

家族が連帯保証人の場合

 

会社の借入や契約で、社長の妻や子どもが連帯保証人となっているケースも見られます。

たとえば賃貸契約・リース契約・融資契約などに家族名が入っている場合、倒産後にその責任を問われることになります。

連帯保証人には支払い義務がある

 

社長ではなく、社長の配偶者や成人した子が連帯保証人になっている場合は、家族の資産(預金・自宅・車など)が差し押さえ対象となります。これは、連帯保証人とは、債務者と同等の支払い義務を負う存在だからです。

 

たとえ「会社が倒産したのは社長の責任だから」と主張しても、法律上は保証人=契約者とみなされるため、支払い義務は免れません。

 

こうしたリスクを回避するには、保証契約を結ぶ前に契約内容を十分に確認する必要があります。

 

会社が倒産したら社長の家族の信用情報は?

 

会社が倒産すると、社長個人や家族の信用情報にも悪影響があるのではないかと心配されます。しかし、倒産した会社が法人である場合、家族の信用情報には原則として影響しません。

家族の信用情報には影響はない

信用情報とは、信用情報機関という会社が管理しているデータのことで、個人の借入・返済履歴などを記録したものです。

 

これは個人単位で管理されているため、会社の倒産や経営不振によって社長の家族の信用情報が傷つくことはありません。

 

ただし、社長本人が連帯保証人となっていた場合や、家族が保証契約を結んでいた場合で滞納した場合は、延滞情報が登録される可能性があります。

 

また、連帯保証人の責任を回避するために破産手続を行うと、本人の信用情報に「事故情報」が一定期間記録されることになります。

 

会社と社長は別というのが法律の考え方

 

ここまで解説してきたとおり、法律上、会社(法人)と社長(個人)は別の存在であり、会社が倒産しても社長個人や家族に自動的に責任が及ぶわけではありません。

 

会社の倒産に直面した経営者の多くは「会社の借金は自分の責任」と感じがちですが、会社の経営者としての責任と個人、そして、家族の財産は別に考えています。

会社は法人として運営されている

 

株式会社や合同会社のような「法人」は、法律上、個人とは異なる独立した存在として認められています。これは会社という法人が民法で「権利能力」を持つ主体であり、契約・財産・債務のすべては会社自身が負っているからです。

 

会社の形態によっては、無限責任社員という制度もありますが、株式会社や合同会社の場合は出資金を超える責任は負わないというのが会社法の原則です。

 

そのため、会社の借金や債務を自動的に背負うことはありません。

会社の名義で融資や取引を行っている場合、返済義務を負うのはあくまで会社(法人)であり、社長や社長の家族などの個人が債権者から取り立てを受けることは原則ありません。

 

会社が破産しても、経営者がすべての負債を背負わないのは、この仕組みがあるためです。

原則として社長と会社も別のもの

 

会社が債務を返済できなくなった場合でも、債権者が取り立てを行うのはあくまで法人に対してであり、社長個人の破産や家族への請求はできません。お金を借りているのは「会社」なのです。

 

ただし、金融機関との契約において社長個人が「連帯保証人」になっている場合や、社長が会社資産を私的に流用していたような場合は別です。このような例外では、社長個人に支払い義務や損害賠償責任が生じる可能性があります。

 

つまり、会社と社長は原則として法的に分離されているものの、万が一のことを考えるのであれば、会社の責任が経営者に及ばないように独立性を意識して財務管理を行うことが大切です。

 

ですが、現実として中小企業において、代表取締役社長と会社を完全に別にするのは難しいという現実もあります。

ポイントは連帯保証人になっているか

 

この代表取締役社長と会社の責任を完全に分離するためには、「連帯保証契約の有無がポイントになります。連帯保証契約がなければ、個人が支払い義務を負うことはありません。

 

このため、会社設立時や融資契約時にどのような書類に署名しているか、早急に確認することが重要です。

不安がある場合は弁護士に相談する

倒産や破産の問題は、会社法や金融契約が複雑に絡み合っています。そして、会社の経営が上手くいかず、破産の手続きをする場合に、できるだけ家族の生活を守るためには、早期の専門家相談が何よりも重要です。

法律事務所に相談して適切な対策をとる

 

会社を倒産させた後の生活について不安がある場合は弁護士への相談がおすすめです。法人の破産について詳しい弁護士は、会社の清算・破産手続・債務整理などについて、経営者や家族の状況に合わせた最適な方針を提案してくれます。

 

 

・破産手続を行うべきか

・自宅や財産をどこまで残せるか

・どのタイミングで申立てを行うべきか

 

といった重要な判断を誤らずに済みます。

 

また、弁護士に依頼すれば債権者との交渉を代行してくれるため、取り立てや電話連絡などの精神的負担も大幅に軽減できます。

まとめ

 

会社が倒産しても、無条件に社長の家族が責任を負うことはありません。会社と個人は法律上別の存在であり、倒産しても家族の信用情報や個人資産には原則影響しません。

 

ただし、社長本人や家族が連帯保証人になっている場合は例外であり、社長名義の財産の差押えや競売といった法的措置が取られる可能性があるため自宅を手放すことで生活が変わる可能性はあります。

そのため、家族の将来を守るためにも、早めに弁護士へ相談し、法的な観点から最適な対応を取ることが重要です。

弁護士への相談は、経営者や家族が安心して次のステップへ進むための第一歩となります。

この記事の監修者

弁護士法人i 代表弁護士

黒田 充宏

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