解決事例

 

No.31 破産申立 ⇒ 残務処理による売掛金回収

 

<事案>

 Aさんは,精密機械用部品作成の会社の代表を長年務めていましたが,売上減少のため廃業し,会社と代表の破産申立をすることにしました。会社には,まだ多量の納品待ちの製品と,仕上げ段階の製品がありました。取引先も引継までの納入を望んでおり,Aさんとしても,取引先にこれ以上の迷惑をかけたくないので,廃業後も何とか納品ができないかとのことでした。

 

<解決に至るまで>
 大阪地方裁判所の運用では(注1),財団債権(注2)発生の防止から,会社の破産申立おいて,従業員は破産開始決定前(注3)までに解雇される必要があり,廃業日に解雇されるのが一般的です。 Aさんの会社は,廃業と同時に従業員全員を解雇しましたが,解雇後もAさんと元従業員の有志が,仕上げや納品のため出勤してくれることになりました。最低賃金に若干額を加算した程度の時給のお支払いでしたが,Aさんも元従業員さんも得意先にこれ以上迷惑をかけたくない,残った製品を少しでも出荷しようと,がんばってくれました。 何もしなければ処分するしかなかった仕上げ・納品待ち製品を出荷して売掛金を大幅に増加させることができ,また,引継までの供給ストップで困っていた取引先も安堵し,Aさんや元従業員さんも最後の仕事ができたと自分の中で納得されたようでした。
 
<最終的な結果>
 大幅に増えた売掛金を回収し,当初予想額を大きく上回る現金を破産管財人に引き継ぐことができました。債権者数や債権額が多い事件でしたが,特に問題もなくスムーズに進み, 申立から7か月で破産手続は終了しました。
 
【用語説明】
(注1)大阪地方裁判所の運用
「破産管財手続の運用と書式」(新日本法規)18ページ参照
(注2)財団債権
破産財団から破産債権に優先し,配当手続によらないで弁済を受けることができる債権(破産法148条)。破産財団の管理換価及び配当に関する費用,破産開始決定前に発生した租税,破産法53条の双務契約での相手方の請求権などがある。
(注3)破産開始決定
破産手続を開始する破産裁判所による決定(破産法30条)
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